石綿(アスベスト)と工作物について
石綿(アスベスト)は、1970年代まで安価な保温・断熱材として多くの場所で使われてきました。
例えば、建築物、配管設備・焼却設備・貯蔵設備・発電設備などの工作物、煙突・反応槽・加熱炉・ボイラー・トンネルの天井・プラットホームの上家・遮音壁などです。
石綿(アスベスト)は中皮腫(ちゅうひしゅ)を発症させる原因物質として健康への悪影響が確認されたことを受け、現在は使用が禁止されています。
ですが現在でも、石綿(アスベスト)被害が出ないように、建築物や工作物は改修や解体の前に石綿が使用されているかの調査が義務付けられています。
建築物の改修・解体は2023年10月から有識者の事前調査が義務化されています。
工作物はこれまで、調査を行うものについての資格は特に求められていませんでしたが、
令和8年1月1日より工作物も有資格者による事前調査が義務づけられる
令和8年(2026年)1月1日より、工作物を改修・解体を行う際、石綿(アスベスト)が含まれているかどうか工作物石綿事前調査者による事前調査が義務づけられます。
なお、配管設備・焼却設備・貯蔵設備・発電設備などすべての設備に対して、石綿の含有調査が必要なわけではありません。
「石綿障害予防規則第三条第四項ただし書きの規定に基づき厚労大臣が定める工作物」に指定されている
反応槽、加熱炉、ボイラー及び圧力容器、焼却設備、変電設備、配電設備、送電設備、トンネルの天井板、プラットホームの上家、遮音壁、軽量盛土保護パネル、鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板などが調査の対象です。
ただし、指定されている工作物のうち、配管設備、煙突は建築物の一部となるため工作物ではなく建築物石綿含有建材調査者の資格が必要であったり、
煙突や貯蔵設備、発電設備は一部除く場合がありますので、事前調査の義務化が始まる前に把握が必要です。
工作物石綿事前調査者講習について
工作物石綿事前調査者講習には受講資格がありますので、カリキュラムと合わせてしっかりと確認をお願いします。
工作物石綿事前調査者講習の受講資格
工作物石綿事前調査者講習の受講資格は、建築物石綿含有建材調査者講習登録規定 第十六条の六によって定められています。
下記のいずれかに該当する方は受講資格があります
- 石綿作業主任者技能講習修了者
- 大学で工学に関する課程を修めて卒業した後、工作物に関して2年以上の実務経験がある方
- 修業年限が3年の短期大学で、工学に関する課程を修めて卒業した後、工作物に関して3年以上の実務経験がある方
- 短期大学又は高等専門学校において、工学に関する課程を修めて卒業した後、工作物に関して4年以上の実務経験がある方
- 高等学校又は中等教育学校において、工学に関する課程を修めて卒業した後、工作物に関して7年以上の実務経験がある方工作物に関して11年以上の実務経験がある方
- 旧安衛法別表第十八第二十二号に掲げる特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した方で、工作物石綿事前調査に関して5年以上の実務経験がある方
- 建築行政に関して2年以上の実務経験がある方
- 環境行政(石綿の飛散の防止に関するものに限る。)に関して2年以上の実務経験がある方
- 労働安全衛生法第九十三条第一項の産業安全専門官若しくは労働衛生専門官又は同項の産業安全専門官若しくは労働衛生専門官であった者
- 労働基準監督官として2年以上その職務に従事した経験がある方
- 上記のいずれかに該当する者と同等以上の知識及び経験がある方
詳しくは、建築物石綿含有建材調査者講習登録規定 第十六条の六をご確認ください。
工作物石綿事前調査者講習のカリキュラム
科目1 | 基礎知識 | 2 時間 |
科目2 | 図面調査 | 4時間 |
科目3 | 現場調査の実際と留意点 | 4時間 |
科目4 | 調査報告書の作成 | 1時間 |
修了考査 | 1時間 | |
合計 | 12時間 |
工作物石綿事前調査者と建築物石綿含有建材調査者の違い
工作物石綿事前調査者 | 建築物石綿含有建材調査者 |
配管設備・焼却設備・貯蔵設備・発電設備などの工作物を改修・解体する際に、石綿(アスベスト)が含まれているか事前調査を行うことのできる資格取得者です。 | 建物を改築・解体する際に石綿(アスベスト)が含まれているか事前調査を行うことができる資格取得者です。 すべての建築物の石綿含有の調査が行える一般・特定と、一戸建て住宅及び共同住宅の内部に限って調査を行える戸建てがあります。 |
受講方法
工作物石綿事前調査者講習の先行予約を受け付けております。