「電気を扱う仕事」に就く人にとって、避けて通れないのが「感電」というリスクです。
特に低圧の設備を扱う現場では、ちょっとした油断が命取りになることもあります。
本記事では、電気工事の登竜門とも言える第2種電気工事士の概要から、感電災害の実情、そしてその予防策まで、現場に役立つ視点で詳しくご紹介します。
第2種電気工事士とは
電気工事士とは、住宅やビル、工場などの電気設備の工事を行うために必要な国家資格です。
その中でも「第2種電気工事士」は、比較的低圧(600V以下)の電気工事を対象とする資格であり、主に以下のような工事に従事できます。
- 一般住宅や小規模な店舗の電気配線工事
- コンセントや照明器具の設置・交換
- 配電盤の取り付け など
資格取得のためには、筆記試験と技能試験の両方に合格する必要があります。
また、実務経験は不要のため、初心者でも取得可能な入門資格として位置づけられています。
電気の種類|低圧・高圧・特別高圧の違い
電気は電圧によって、「低圧」「高圧」「特別高圧」に分類され、それぞれ取り扱いの難易度やリスクが異なります。
分類 | 電圧範囲 | 主な用途や事例 |
---|---|---|
低圧 | 直流750V以下、交流600V以下 | 一般住宅、商業施設、事務所などの日常的な設備 |
高圧 | 交流600V超~7000V以下 | 工場、中規模ビル、受変電設備など |
特別高圧 | 交流7000V超 | 発電所、大規模工場、大型施設の送電系統 |
第2種電気工事士が扱えるのはあくまで低圧のみ。
高圧や特別高圧を扱うには、第1種電気工事士や電気主任技術者など、さらに上位の資格が必要になります 。
感電災害とは?実際に起こった労働災害の事例
電気工事の現場では、「感電」が常につきまとうリスクです。
たとえば、以下のような事例が報告されています。
事例:ケーブルの断線調査中に感電
調査作業中、絶縁手袋を着用していなかったことから、通電しているケーブルの被覆に触れてしまい感電。
幸い軽傷で済んだが、状況によっては命に関わる可能性もあった 。
このような事故は、「感電=高圧で起きる」という誤解から低圧作業時の油断が原因となるケースが多くあります。
なぜ感電は怖いのか?人体への影響
電流が人体を通ると、その電流の強さと通過時間によって以下のような影響があります:
- 1mA程度:ほとんど感じない
- 5mA前後:しびれを感じ始める
- 10〜20mA:自力で手を離せなくなる(レットゴー電流)
- 50mA以上:呼吸停止、心室細動、心停止の可能性
つまり、たった0.05A(50mA)の電流でも命を奪う可能性があるのです。
低圧であっても条件次第では、致命的な事故につながります 。
感電災害を防ぐための具体的対策
1. 絶縁工具と保護具の着用
- 絶縁手袋・ゴム長靴・絶縁マットは基本装備
- 工具も絶縁処理されたものを使用すること
2. 活線作業の回避
- 電気が流れている状態(活線)での作業は極力避ける
- 作業前には必ず電源を切る(停電操作)
3. 作業許可と立ち入り管理
- 感電リスクがある場所には注意喚起の表示を
- 作業責任者の管理下で作業を進める
4. 教育と訓練の徹底
- 新人教育の中に感電リスクを明示
- 定期的な安全講習やヒヤリ・ハットの共有が有効
5. 感電時の応急対応を知っておく
- 電源の遮断が最優先
- 触れている人を直接引き離さず、絶縁体を使う
- 呼吸停止・心停止があれば、心肺蘇生(CPR)を迅速に実施
これらの対策は、命を守る最低限の備えであると同時に、作業現場の信頼を守るためにも欠かせません。
第2種電気工事士として意識すべきこと
資格を取得しただけでは、プロの電気工事士とは言えません。
特に第2種電気工事士は「低圧」だからといって、感電の危険がないわけではなく、常にリスクと向き合い続ける職業です。
- 「慣れ」や「経験」で省略しない
- 現場ごとのリスクアセスメントを習慣にする
- 他者と連携して安全意識を共有する文化を育む
こうした意識が、感電事故を未然に防ぎ、「帰れる職場づくり」につながります。
まとめ|低圧=安全ではない。常に“最悪のケース”を想定しよう
電気は便利であると同時に、一瞬で命を奪う力を持った存在でもあります。
第2種電気工事士として現場に立つ以上、感電災害を「他人事」として考えることは許されません。
低圧でも油断すれば危険。だからこそ、
安全装備・教育・習慣化の3つを徹底し、プロフェッショナルとしての自覚を持つことが大切です。
あなた自身と、仲間、そして会社を守るために──
「安全第一」は、資格以上に求められる“職業人の責任”なのです。